2013年4月6日土曜日

ジョルジョ・ヴァザーリ 芸術家列伝3(白水ブックス) Giorgio Vasari, Lives of the Most Eminent Painters Sculptors and Architects

原典では、およそ160人程の芸術家が紹介されているが、日本語訳では、画家に絞り、17人のパートのみ翻訳されている。

第3巻では、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロが紹介されている。しかし、そのほとんどは、ミケランジェロについての内容で占められている。

これは、ヴァザーリが、晩年のミケランジェロと深い交流があり、ミケランジェロこそ、最高の芸術家である、と考えていたことによる。

その記述内容は、単にミケランジェロの作品についてだけではなく、ミケランジェロと歴代のローマ法王との絵画の注文についての様々なやりとりまで紹介されている。

ヴァザーリは、ミケランジェロ自身のことよりも、いかに自分がミケランジェロと深い交流を持っていたのか、ということの方を、書き残したかったようだ。

ジョルジョ・ヴァザーリ 芸術家列伝2(白水ブックス) Giorgio Vasari, Lives of the Most Eminent Painters Sculptors and Architects

原典では、およそ160人程の芸術家が紹介されているが、日本語訳では、画家に絞り、17人のパートのみ翻訳されている。

第2巻では、ボッティチェリ、ラファエロ、ジョルジョーネ、ティツィアーノら、6人の画家が紹介されている。この巻では、ラファエロの部分が全体の3分の1を占めている。

ヴァザーリによれば、ラファエロは、自分の技術がミケランジェロやダ・ヴィンチには叶わないと知って、彼らの対抗するのではなく、それらのいい所を取り入れ、よりバランスのいい作品を作りがけることで、後世に名を残す画家になったという。

ティツィアーノについては、あまりにも彼の名声が高くなり、ローマ法王はもとより、神聖ローマ皇帝のカール5世や、オスマントルコのスレイマン大帝も、彼に贈り物を贈り、肖像画を書いてもらうことを望んだ、という興味深いエピソードが紹介されている。

ジョルジョ・ヴァザーリ 芸術家列伝1(白水ブックス) Giorgio Vasari, Lives of the Most Eminent Painters Sculptors and Architects

原典では、およそ160人程の芸術家が紹介されているが、日本語訳では、画家に絞り、17人のパートのみ翻訳されている。

第1巻では、チマブーエ、ジョット、ウッチェロ、マザッチョ、フラ・アンジェリコなど9人が紹介されている。

ルネサンス芸術というと、短い期間に多くの芸術家が登場したイメージが強いが、チマブーエも、ジョットも13世紀に生まれた人間で、ダ・ヴィンチなどとは200年の開きがある。

ジョットが、ローマ法王に従って、アヴィニョンに行って絵を描いた、という記述があるが、アヴィニョン捕囚という事件は中世の出来事だというイメージが強い。

ルネサンス芸術は、決して突然表れたのではなく、長い歴史があった、ということがよくわかる。

ジャン・リュデル イタリア・ルネサンス絵画(文庫クセジュ) Jean Rudel, La peinture italienne de la Renaissance

新書形式の小さな本だが、侮るなかれ。その内容は、入門書というよりは、かなり専門的な内容になっている。

イタリア・ルネサンス絵画の成立を、ゴシック絵画、フランドル絵画、そして古代ローマ・ギリシャの作品の影響から、あるいは油絵の画材の変化、デッサンの重視など、多様な側面から解説している。

また、そうした絵画を注文した、教会や世俗の人々の需要の側面にも目を向け、当時の社会が、どうしてルネサンス絵画に描かれたテーマを求めたかと、その思想的な背景にも言及している。

その上で、マザッチョ、ボッティチェリ、ダ・ヴィンチ、ティツィアーノらの主要な画家も紹介している。

This book is very small but the contents are much about the paintings of Italian Renaissance.

The author covers the backgrounds of the age and the introduces of major painters and tools & techniques also.

2013年4月1日月曜日

戸口幸策 オペラの誕生(平凡社ライブラリー) Birth of Opera by Kosaku Toguchi

この本を一言で表すとしたら、労作、という言葉がピッタリだ。よくぞ、これだけ広範囲な内容を調べ、1冊の本としてまとめたなあ、と感心してしまう。

イタリアでのオペラの誕生に始まり、ドイツ、イギリス、フランス、スペインへの普及についてカバー。さらに、各時代の主要な作曲家と作品について、楽器の編成やストーリーについて紹介している。

オペラの誕生という書名だが、その誕生に始まり、最後に紹介されるのは、モーツァルト。

これは、筆者が、最初のオペラといわれる1598年の『ダフネ』から、その後の長い歴史を経て、モーツァルトによってオペラという音楽ジャンルが確立されたことをもって、オペラの誕生期が終わった、と考えているということなのだろう。

This book covers much about the early stage of Opera History from the first work to Mozuart.

He introduces many composer and their works from Italy, German, France and England.

ジル・ド・ヴァン イタリアオペラ(文庫クセジュ) L'opera italien by Gilles de Van

イタリアオペラについて書くということは、オペラそのものを書くことだ、と語る筆者が、イタリアオペラの特徴と、その歴史について完結に語る。

著者によれば、1600年の『エウリディーチェ』に始まったイタリアオペラの歴史は、プッチーニの『トゥーランドット』に終わるという。

その原因は、イタリアの統一によって、オペラハウスを建てて、それを観客として支えた、イタリアのローマやヴェネツィアといった地方都市の貴族階級の人々が、没落してしまったからだという。

それぞれの時代の代表的なイタリア・オペラの内容が紹介されており、オペラ鑑賞のガイドとしても使える。

The author says explaining Itarian Opera means to explain Opera itself.

He describes the bigining and ending of Itarian Opera briefly by the pints and history.

As the author, the reason of decline of Itarian Opera was come from the decline of Itarian local city like Rama and Venecia by the unit of Italy.

2013年3月31日日曜日

西沢立衛 美術館をめぐる対話(集英社新書) Dialog about Museum by Ryue Nishizawa

建築家の西沢が、アーティスト、作家、キュレーター、同業者らと、美術館について語った対話のアンソロジー。

西沢が自ら建てた、金沢21世紀美術館、十和田市現代美術館についてだけでなく、ルーブル美術館、ビルバオのグッゲンハイム美術館についても、幅広く論じている。

美術関係者は、美術館の内部だけに関心が集中するが、美術館を建てる建築家は、周囲の環境との関係についても、関心を多く払う。

西沢を始めとした、現代の建築家によって建てられる美術館を通じて、美術そのもののあり方が、大きく変わるかもしれない可能性を、強く感じた。

Nishizawa, a architect had his dialog with a artist, a writer, a curator and some architects about the relationship between art and architecture.

Peoples working in art market are focus his intention only internal of art. But architectures designing museums are considering not only internal but also the relationship between the museum and the surrounding society.

I felt some possibility to change the art itself by the architects.

長谷川祐子 キュレーション 知性と感性を揺さぶる力(集英社新書) Curation by Yuko Hasegawa

世界的に活躍する売れっ子キュレーター、長谷川祐子が、自らの豊富な経験をもとに、キュレーターの仕事内容、現代アートの最前線を紹介する。

長谷川は、キュレーターの仕事について、視覚芸術を解釈し、これに添って、芸術を再度プレゼンテーションすること、と定義している。

作品の作成者がまだ生きている場合、キュレーターは、その作家とのコミュニケーションを通じて、展覧会をいっしょに作り上げていく。

話題はアートだけに止まらず、美術館と社会との関係、グローバリゼーション、ジェンダーなどにも及ぶ。それは、現代アートが、そうした分野をテーマにしていることを意味している。

12の章から構成されているが、長谷川は、おそらく、それぞれを1つのアート作品として捉え、本の上で、展覧会をキュレーションしようと意図したに違いない。

Yuko Hasegawa, one of most famous curator in Japan introduces what is Curator, what they are doing in this book.

She argues not only about art but also for globalization, gender and the relationship between museum and society. It means the topics is presented in the modern art works.

Hasegawa seems to intend to curate her virtual exhibition in this book.

2013年3月30日土曜日

柳宗悦 茶と美(講談社学術文庫) Tea and Beauty by Soetsu Yanagi

民藝運動の創始者、柳宗悦が書いた、茶道に関する文章をまとめたアンソロジー。

冒頭の序文で、柳は現代の茶道の状況について、堕落した状態だと厳しく批判する。現代の茶人には、物を見る目がない。単に、名品と言われている物だけを珍重し、自らの目で判断していない、と手厳しい。

名品といわれる井戸茶碗、喜左衛門井戸について、実際にその目で見、その平凡の中にある美しさを絶賛し、これを名品と評価した、創成期の茶人達の鑑識眼の高さにも敬服している。

工芸的絵画という文章においては、近代以降の行き過ぎた個人主義崇拝の思想を批判し、誰が書いたかわからない近代以前の絵の美しさに目を向けるように促す。

いずれの文章でも、柳は、茶に関するものを通じて、彼の考える美の本質を語っている。

Yanagi argues his idea for what is the beauty through his articles about Japanese teat ceremony in this book.

He critics the modern Japanese tea ceremony because they can not identify which tea tools are good or bad by themselves.

He prefer unknown works to works by the individual.

2013年3月27日水曜日

アラン・ルヴィエ オーケストラ(文庫クセジュ) L'orchestre by Alain Louvire

オーケストラ、という題名だが、主に西洋の音楽家が、その曲の中で、管弦楽をどのように使ってきたか、を歴史的に概観する、といった内容になっている。

短い本であるので、ベートーベン、ベルリオーズ、マーラーのみ、やや詳しく説明し、それ以外の作曲家については、1ページ程度の簡単な紹介にとどまっている。

実際の楽譜がいくつか紹介されている。それぞれの作曲家が、それぞれの楽器にどのような役割を持たせようとしたか、一目瞭然だ。

記述は少ないが、多くの現代の作曲家や、日本などのヨーロッパ以外の音楽についても触れている。

Alain explains the overall how western musicians has used the orchestra for their musics.

He introduces some scores. The readers can make sense easily how the musicians think the orchestra by the scores.

He also describes a little bit of the modern music and non-western music.

堀内修 ワーグナーのすべて(平凡社新書) All about Wagner by Osamu oriuchi

ワーグナーのすべて、とは野心的な題名だが、新書においてワーグナーの全てを書き切ることは無論、不可能だ。

ワーグナーの主要なオペラのストーリーと、それぞれのオペラが、初演当時から今日の公演まで、どのように演じられてきたか、という側面のみにフォーカスした内容になっている。

その反面で、音楽的な中身には、あまり触れられてはいない。

バルジファルは、かつては、拍手をしてはいけなかった、などの興味深いエピソードが盛り込まれている。歴代の主要なオペラ歌手の紹介もあり、ワーグナーの作品を楽しむには、参考になる情報が多い。

The title is "All about Wagner" but the contents are focus on the story of major Wagner's opera and how his works has been performed from his age to today.

On the other hand he does not write about his music so much.

Horiuchi introduces many opera singers who can perform well for Wagner's opera. This book is good guide to watch Wagner's opera.

2013年3月26日火曜日

ワグナー ベエトオヴェンまいり(岩波文庫) Meeting with Beethoven by Richard Wagner

表題になっているのは、ワーグナーがパリ時代に、貧しい生活の足しにするために書いた、音楽小説。

ワーグナーは、実際にはベートーヴェンには会ってはいない。当時の音楽を取巻く状況を批判する、この小説におけるベートーヴェンの言葉は、若き日のワーグナーの思想そのものである。

30才頃までの自叙伝も収録されている。それを読むと、ワーグナーは、決して天才的な音楽家ではなく、努力家だったことがよくわかる。

Wagner wrote a story about a meeting with Beethoven but the story is not real but just a Nobel.

Beethoven's words in the Nobel are not his but Wagner's thought.

This book includes Wagner's life story by himself. He was not genius of music. He got his music by his hard working.

ワーグナー 芸術と革命(岩波文庫) Art and Revolution by Richard Wagner

若きワーグナーが、19世紀の革命に揺れるヨーロッパの時代背景の中で、自らの芸術観を論じた、題名にもなっている文章が、この本の中心になっている。

ワーグナーにとっては、古代ギリシャにおける、社会と芸術が一体になった姿が理想だった。ギリシャの演劇は、音楽と統合されていて、それが、ワーグナーの楽劇の発送の源だった。

それに比べて、当時の状況は、芸術は経済の支配下に置かれており、しかも音楽と演劇は、別々なものと扱われていると、ワーグナーは批判している。

そうしたワーグナーの思想を知ると、彼のオペラが、より一層楽しめるようになる。

Wagner thought that music and drama should be integrated like in Ancient Greece age.

But the situation of music and drama was far from the ideal at Wagner's age.

This book tells us that Wagner tried to realize the ideal situation by his opera.

2013年3月21日木曜日

田中仙翁 茶道の美学(講談社学術文庫) Aesthetics of Japanese tea ceremony by Senou Tanaka

茶道における、茶室や茶道具の変遷を紹介し、その背景にある、茶道に対する意識の変化を解説している。

特に、茶道が発生する以前の、室町時代における、足利将軍家を中心にした、豪華な唐物を使った、茶会の様子を詳しく紹介し、いかに、武野紹鴎や千利休の侘び茶が、それまでの茶会の概念を、大きく変革したかを詳しく語っている。

文章だけでなく、写真や、図版、茶道の古典からの抜粋などもあり、読む物を飽きさせない工夫がされている。

The author explains the history of thought of Japanese teat ceremony by introducing the place to have the tea party and goods to use there.

Specially he describes about the atmosphere of tea party at Muromachi age and how Sen no Rikyu changed Japanese teat ceremony by the concept of Wabi.

This book includes photos, charts & quotes from famous classics. This makes this book easy to read.

久松真一 茶道の哲学(講談社学術文庫) Philosophy of Japanese tea ceremony by Shinichi Hisamatsu

文学博士で、茶道にも造詣の深い久松による、茶道の背景にある哲学についての文章を、まとめたもの。

久光によれば、茶道は、禅の精神がその基礎にあり、質素な空間、道具の中に、美を見出そうとする、創造的な営みであった。

しかし、今日の茶道の状況は、それとは全く異なっており、家元制度という封建的な世界の元で、きらびやかな茶道具が、持てはやされている、として厳しく批判している。

中でも、利休好みなどの、好み、というものは、数ある茶道具の中から、真の茶道に相応しいものを選択し、それまでにない茶道を作りあげようとする、創造的な取組みである、という説明は、興味深かった。

This book is a anthorogy of the articles about Sado by the author as a scholar of literal.

Hisamatsu says Sado is a creative trial to find a beauty in the plain space by the plain tools for tea ceremony.

But Sado today is far from the original way and beaurocratic and prefeer the ragusually tea ceremony goods, he critisizes the situation.

2013年3月17日日曜日

柳田国男 伝説(岩波新書) Legend by Kunio Yanagida

柳田国男が、昭和13年に行った講演をもとに、書き上げた書。伝説というテーマを扱いながら、歴史学とは違った方法論を持つ、民俗学という学問について、多くの実例と合わせて解説している。

柳田によれば、歴史学は、文書になっていること、それが誰によって書かれているか、ということを重視するが、民俗学では、その両者は明らかでないことが多く、むしろ、その伝説が語り続けられている、ということを重視し、その背景を探ることに重きを置いている。

天皇あるいは貴人が地方に移り住んだという伝説、八丈島に源為朝が流されたという伝説などは、単なる言い伝えでは片付けられない、ある種の真実を含んでいるという柳田の主張は、文字通り、民俗学の核心を語っている。

Yanagida has written this book on 1940 base on his class on 1938. He explains about his folklore by using the legends as a theme.

History orients the document and who wrote the document. But folklore orients why the legend has been told for long time and what is on the background of the legends.

Yanagida believed some legends which nobles come to a local village and lived long time ago told us a kind of truth. This is a core of the concept of his folklore.

2013年3月16日土曜日

ロバート・キャパ ちょっとピンぼけ(文春文庫) SLIGHTLY OUT OF FOCUS by Robert Capa

世界で最も有名な報道写真家、キャパによる、第2時世界大戦の連合国による、アフリカ戦線や、ノルマディー上陸作戦からパリ解放に至るまで、従軍した時の記録。

最初と最後に、同じ言葉が書かれていたり、恋人との一つの結末に至る様子が描かれるなど、単なる手記ではなく、1つの作品として意識して書かれている。

やはり、一番の読みどころは、オマハビーチへの上陸作戦の様子。本の表紙にも使われている、その時に撮影した写真によって、キャパは伝説になった。

この本の中で、その時の恐怖について、キャパは率直に語っている。フィルムをカメラに入れようとしても、恐怖で手は震えて、入れることができなかった、ことなど。

キャパがパパとよぶ、文豪ヘミングウェイが、従軍記者として参加しながら、最前線で、軍人をまとめて一つの部隊を作っていた、というエピソードも興味深かった。

この本を読むと、キャパの人間的な魅力が伝わってきて、キャパにあった人間は、誰でも彼を好きになってしまっただろう、と感じられた。

Robert Capa, one of most famous photographer in the world records his activity in World Wide War II from the battle ground in Africa to releasing Paris in this book.

He wrote this book not as just a record but a organized one.

Most interesting part of this book is the part of D-Day. He joined to the first trop to land to Omaha beach. He took his most famous photo in the beach in his fear.

His sentences made me sense that everyone who met him liked him soon.

2013年3月15日金曜日

コンドルセ 人間精神進歩史(岩波文庫) History of Human Spirits Progress by Marquis de Condorcet

著者のコンドルセは、フランス革命の中で、反対派として逮捕され、獄中で自殺した。その年に出版されたのが、この書。

その内容は、一貫して、人間の理性に対する、盲目的とも言える信頼で、貫かれている。しかし、その理性が実現されるはずだったフランス革命の中で、自ら命を絶つことになったということが、この本を、より悲劇的な物にしている。

その後のヨーロッパを中心とした人類の歴史は、まるで、”人間精神衰退史”のようだ。

進歩という考え方や、自分たちの民族に対する偏愛に対して、何の疑問も反省も感じていないその内容は、今日からみると、あまりに無邪気すぎるが、それが、当時の時代精神を、何よりも良く表している。

Condorcet was a politician at France revolution age and was suicided after arrested by the government. This book has published on the same year of his death.

Condorcet believed human's reason from his true heart. But his life makes this book tragic in contrast.

Human's history mainly in Europe after his death was just like History of Human Sprits Decline.

This book shows us Condorcet's belief to the concept of progress and Europe's superiority. I think his thought is innocent enough. But this book tells us how the age he was living was very well.

2013年3月13日水曜日

服部幸雄 大いなる小屋(講談社学術文庫) Great Box - Theater by Yukio Hattori

大いなる小屋とは、江戸時代の歌舞伎の芝居小屋のこと。歌舞伎の世界では、舞台と観客席の一体となった空間を、芝居小屋と呼んだ。

服部は、芝居小屋に関わる様々な要素と、その背景やエピソードを紹介しながら、江戸時代の歌舞伎の祝祭空間を、この本で解説している。

鼠木戸を潜り、小屋に入ることは、異界に入ることを意味する。様々な出し物で登場する橋は、異なる世界の境界を意味している。幕は、結界を表している。など、歌舞伎にまつわる物の背後には、古代から続く、宗教や習慣が残っていることを証明している。

そして、最後に、四国の金比羅大芝居の成功を例にあげながら、現代において、江戸時代のような芝居小屋を復活させることを提言している。

Great Box means Kabuki's theater in Edo age. Peoples at that age called is as the playing box which in integrated the stage and sheets tightly.

Hattori explains some elements of the theater by introducing the background, history and episodes. As him, the entrance, the curtain and the bridge in the stage are religious symbols.

He hopes the similar theater as Edo age should be come back now.

2013年3月11日月曜日

渡辺保 歌舞伎(ちくま学術文庫) Kabuki by Tamotsu Watanabe

演劇評論家の渡辺保が、役者、劇場、戯曲、という3つにわたる分野の様々な側面から、歌舞伎の魅力について語っている。入門編というよりは、中級者、上級者向け。

色気とは、単なるエロティズムだけではなく、本来は、風情、女っけ、あるいは、文字通りの色合い、などの意味があり、歌舞伎の上では、そうしたすべてを表現しようとしている。

あるいは、歌舞伎においては、恋をしている物同士が、近づくのではなく、逆に、離れていくことで、その気持ちを表現する。

など、目から鱗が落ちるような、歌舞伎の世界の奥深さを多数紹介している。

この本を読むと、歌舞伎とは、日本の文化のいろいろな要素が、凝縮されている、とういうことがわかる。歌舞伎を知ることは、まさしく、日本の文化、そのものを知ることなのだ。

Tamotsu Watanabe, a traditional entertainment commentator explains about Kabuki from 3 aspects - actors, theaters and scripts.

He mentions that "Iroke" usually means as a erotism but also means also feeling, colorfulness and Kabuki presents the all aspects of "Irole" on the stage.

He also writes that livers usually come near but in Kabuki they are separated way each other from their shyness.

This book tells us Kabuki includes the core of Japanese culture much. Knowing Kabuki is to know all about Japanese culture.

2013年3月8日金曜日

郡司正勝 かぶき発生史論集 Anthorogy of the history of Kabuki by Masakatsu Gunji

演劇学者である郡司の、歌舞伎の発生期についての論文をまとめたもの。

中心になっているのは、猿若といわれる、道化役についての冒頭の2つの論文。郡司は、様々な文献や、当時の絵画などをもとに、戦国末期から江戸時代初期にかけての、歌舞伎の発生の様子を再現しようとしている。

郡司は、残された資料から、猿若の道化は、それまであった能系の狂言から出たものではなく、民衆芸の中から生まれてきたのではないか、と論じている。

一件、地味な内容と思える論文集だが、読み進むにつれて、グイグイと引き込まれていく。それは、真実を見極めようとする、郡司の熱い情熱が、行間からヒシヒシと感じられるからに違いない。

This book is a anthology about the beginning of Kabuki by Gunji, a scholar of Japanese drama.

The main parts of this book are 2 essays which he explains about Saruwaka and clown. Gunji tries to make the beginning of Kabuki clear by various documents and paintings at that age.

Gunji proofs Saruwaka is came from masses's festival not from the traditional Kyogen.

His essays are plain from the first sight. But I feels his energies from his works gradually.


郡司正勝 かぶき入門 Introduction to Kabuki by Masakatsu Gunji

演劇学者である郡司が、かぶきについて、その歴史、劇場、役者、観客などについて、幅広く、しかも簡潔に紹介した入門書。

郡司によれば、かぶきとは、江戸時代に民衆に支えられた芸術ではあるが、決して単純なものではなく、それを鑑賞するには、高い知性と、批判精神が必要になる、という。

そのことは、かぶきの歴史を紹介した章の後で、役者ではなく、観客について、章を割いていることに、その意図がよく表れている。

そして、現代において、かぶきが復活するには、江戸時代の同様、観客の厳しい目こそが、何よりも重要であると、最後に語っている。

Gunji, a scholar of Japanese drama introduces about Kabuki briefly from many kinds of aspects like the history, the theater, actors and audiences.

As the author, Kabuki is not just a simple drama for peoples to understand easily but the audiences need  their deep intelligence and critics.

Gunji writes one chapter only about audiences in this book to explain for this.

He points out that only the audiences who have intelligence and critics like in Edo period can make Kabuki great again like in that age.


2013年3月5日火曜日

花田清輝 復興期の精神(講談社 文芸文庫) Spirits of Renaissance by Kiyoteru Hanada

戦時中に雑誌に掲載された文章を、戦後間もない昭和46年に、新たな文章も加えて、出版されたもの。戦後の芸術界のみならず、文化全体に影響を与えた、古典的な名著。

自らの知識をひけらかすような、キザな文章は、今日から見ると、ダサ過ぎる、という印象は拭えない。しかし、当時の時代の雰囲気を、よく表している。

ダンテ、ダ・ヴィンチ、マキャベリなど、ルネサンス期を中心としたヨーロッパの人物論だが、花田の視点は、過去にではなく、戦争をはさんだ当時の日本に向けられている。

そして、そこで論じられているのは、ルネサンス期の人物たちではなく、紛れもなく、花田本人の心である。

すべてに冷めてしまった今日では、花田のような、ダサ過ぎるほどの、熱い気分こそが、本当は一番必要なのかもしれない。

Almost articles of this book was written just before the end of World Wide War II. This book was published just after the war.

The way of writing the articles is very old style from the current view point. I make sense the atmosphere of that age from the style.

Hanada mentioned the thought of Renaissance like Dante, Da Vinci and Machiavelli but his intention of this boom in not for old age but for his living age.

ジョン・バーシャー イメージ(ちくま学芸文庫) Way of Seeing by Jhon Berger

美術評論家、脚本家でもあるバージャーが、自らも企画したテレビシリーズをもとに、書き下ろした本。テレビで紹介された様々な絵画、イメージも掲載されている。

バージャーは、イメージは、見る人の置かれている状況や、そのバックグラウンドによって、全く違うように見えること。また、イメージを提供する側が、それを意識して提示することで、社会的な効果をもたらすととが出来ること、などを論じている。

この本を読む前と、読んだ後では、絵画や写真を見る見方が、異なってくるに違いない。

Berger wrote this book based on the TV series which he joined to planning. Many pictures and photos are seen in this book.

Berger argues that way of seeing is depends on the situations and backgrounds of people. We can control how people see the images by controlling the context and contents.

This book makes our way of seeing pictures and photos.

2013年3月2日土曜日

レヴィ・ブリュル 未開社会の思惟 Les fonctions mentales dans les sociétés inférieurs by Levy-Brulh

ブリュルが、劣等社会とよぶ文明化されていない人々の自然観、宗教観、言語などについて、社会学の方法で分類、整理した画期的な作品。

ブリュルは、先駆者のターラーやフレイザーの業績を評価しながらも、ヨーロッパ人にとって珍しい素材のみを収集し、それらをヨーロッパ人の概念で解釈している、と批判している。

 その上で、劣等社会の人々の考え方を受け入れた上で、実はそうした考え方が、ヨーロッパ人の生活や風習の中にも、多くの痕跡を残していることを証明している。

その画期的な業績は、その後の文化人類学に大きな貢献をした。

しかし、世界中の多様な人々の暮らしを同じ視点で論じ、しかも、それらを整理・分類する、という方法論自体が、ヨーロッパ知性の限界であるということも、この本は同時に証明している。

Levy-Bruhl's great works which classifies the uncivilized society's thinking to nature and religion by the way of sociology.

He respects pioneers like Frazer but criticizes their European centric way on other side.

Levy-Bruhl points out some things which are found in uncultivated society are found in European society also.

But this book presents the border of European thinking which are willing to group everything in a single view.

2013年2月27日水曜日

多木浩二 眼の隠喩(ちくま学芸文庫)Metaphor of Eye by Koji Taki

芸術学、記号学を専攻する学者、多木が、19世紀後半以降のヨーロッパについて、視覚というキーワードで、論考した書。

同じ時代を扱った、歴史書や美術や文化関連の書物とは、一味も二味も違った内容になっていて、視点が違うと、まるで別な時代を描いているように思えるのが、面白かった。

パリの大改造や、肖像写真などのよく知られた話もあれば、人形の家や、椅子といった珍しい素材を扱った章もあって、楽しい。

なぜ、そのテーマなのか?という論路的な根拠には乏しいように思えたが、筆者の独自の視点に振り回され、時間旅行を行うのも、またよい経験だ。

Tagi, a scholar of Art and Code argued some interesting topics of Europe in 19 - 20 th century from the perspective of seeing.

This book is slightly different from another books which is written for same age as this book. Tagi explains Dole house and Chairs which are picked up very few in these kind of books.

I enjoyed the journey of the age with Tagi's original view points and thought.

ジョン・バージャー 見るということ(ちくま学芸文庫) About Looking by John Berger

美術評論家、小説家、脚本家など多彩な活躍をするバージャーによる、写真論、美術家論のアンソロジー。

特に面白かったのは、スーザン・ソンダクの『写真論』をもとに、写真を論じた、”写真を使う”と、あまり知られていない彫刻家を論じた”ロメーヌ・ロルケ”。

”写真を使う”では、写真というもの意味が、個人にとっては、単なる記憶の断片だが、社会にとっては、それが支配の道具ともなる、という側面を多面的に論じている。

”ロメーヌ・ロルケ”では、自然の石をそのままに近い形で利用する彫刻家の作品が、芸術とは何か、という根本的な問いかけを行っている、という趣旨の内容。

その他の文章も、それぞれ短く、読みやすいが、内容は、いずれも芸術の本質をついている。

2013年2月25日月曜日

柳田国男 一つ目小僧 One eye ghost and others by Kunio Yanagida

柳田国男の妖怪についての論文集。テーマは、一つ目小僧、橋姫、隠れ里、ダイダラボッチなど。

表題の論文は、一つ目小僧にまつわる各地の言い伝えを紹介し、その背景を探る内容。一歩づつその核心に迫っていく様子は、まるで、推理小説の謎解きを読んでいるようにスリリング。

柳田の民俗学の特徴が、こうしたストーリーテリングにあることが、もっともよく表れている作品の一つだろう。

また、橋姫という作品では、橋という境界に起こる世にも不思議な物語の探求。こちらも、短編小説と紹介されても、違和感がないほど、面白い。

This book includes Yanagida's articles about ghost stories like one eye ghost, a girl on the bridge and the hidden village.

Specially the article of one eye ghost is just like a mystery and interesting. Yanagida is a big story teller.

And a girl on the bridge also is just a story.

柳田国男 妖怪談義 Discussing about Ghost by Kunio Yanagida

柳田国男が、妖怪について、"きまじめに、しかも存分に"語った書。

まとまって書かれた本ではなく、妖怪について書いた文章をまとめたもの。河童、ざしきわらし、天狗などのテーマについて、書かれている。

歴史家は勿論、一般の人も、妖怪の話というと、眉をひそめがちだが、柳田は、話の内容のみならず、どうして人々が、長い間、妖怪の話を語り継いできたか、その背景を探ろうとしている。その方法論こそが、妖怪のみならず、柳田の民俗学の真髄ということなのだろう。

その意味では、妖怪というテーマは、柳田にとっては、決して周辺のものではなく、中核的なテーマだったのだということが、この本を読むと、よくわかる。

Yanagida introduces many topics about ghosts like Kappa and Tengu very seriously. The articles was not written for a book first.

Historian takes them not seriously usually. But Yanagida focus on not only the stories but also the backgrounds of the stories why people's has talked them for long time.

For Yanagida, the story of Yokai is the core of his folklor.

2013年2月22日金曜日

折口信夫 日本藝能史六講(講談社学術文庫) Hitory of Japanese Entertainment by Nobuo Origuchi

表題になっている文章は、折口信夫が昭和16年に行った講義録。他に、三味線と翁についての文章を収めている。

折口は、日本の芸能は、祭りにおける鎮魂をその源にしていると説いている。また、舞踏とは、外部からやってきた”まれびと”が、舞を舞う、ということよって始まったとしている。

また、翁に関する文章では、能で必ず演じられる翁とは、山人であり、それは、鬼や天狗といった存在と通じているとしている。

折口の主張の真偽はさておき、日本の伝統的な様々な要素を、大きな枠組みの中に位置付けてしまう、その構成力には、学者というよりは、天才的なひらめきのようなものを感じる。

The main part of this book is based on Origuchi's lecture notes.

Origuchi believed Japanese entertainment come from repose of souls. He also said that the origin of Japanese dance was played by visitors from outside in old age.

Some peoples are against Orgichi's theory. But I was impressive his ability to create whole picture by collecting many kinds of related incidents.

安藤礼二編 折口信夫 芸能論集(講談社文芸文庫) Nobuo Origuchi Antology for Entertainment

安藤礼二が、折口信夫の全集から、芸能に関する文章を抜き出し、編集したもの。

芸能そのものを正面から扱っているのは、日本芸能史序説、古代演劇論、の2つだといっていだろう。

その日本芸能史序説の冒頭で、折口は、”芸能史は、通常の歴史のようには記述できず、芸能史という言葉自体に問題がある”と書いている。実に、折口らしい。

ある仮説を述べながら、その根拠を書かずに、次の話題に移ってしまう部分が多く、どうしても、折口の文章は、学問というより、文学という色合いが濃い。

しかし、その文章の魅力にはまったら、その世界からは、容易に抜け出すことはできなくなる。

Reiji Andou selected some sentences from Nobuo Origuchi complete works related to Japanese entertainment and made this book be them.

Origuchi mentioned it was difficult to write the history of entertainment as another kinds of histories. He also wrote that the world "Entertainment History" has some issues. This appears Origuchi way well.

Origuchi known as a scholar of folklore but he writes his articles just like as a literary person.

It is very difficult to escape from Origuchi's world if someone is in his world deeply.

2013年2月21日木曜日

柳田国男 山の人生(角川文庫) Life in Mountain by Kunio Yanagida

冒頭で、柳田は、山の中で暮らしていた父親が、生活苦から、自分の子供を殺してしまう、というショッキングなエピソードを紹介する。

読者の心を、冒頭でしっかりと掴んでしまう、小説家のような柳田の文章の上手さには、改めて舌を巻いてしまう。

山の人生という書名だが、時に、山には直接関係ない、神隠しのような話題も紹介している。

雑誌への連載をもとにしているので、1つの章は短く読みやすい。しかし、全体の構成は、実に良く考えられており、柳田の長年の研究の成果が、あますところなく、現れている。

Yanagida introduces a shocking episode which a father killed his sons from their hard life at the first part of this book.

He got the reader's attention from the episode. His power of writing is just like a professional story teller.

Yanagida picked up many stories and episodes regarding of lives in mountain. He organized them very well by his long study and deep insight.

柳田国男 日本の祭り(角川文庫) Festival in Japan Kunio Yanagida

柳田国男が、昭和16年に、東京大学の理工系の学生を中心とした観衆に対して講義した内容を本にしたもの。

そもそも祭りとは何か、というところから始め、祭を行う場所には木が欠かせない、祭りの時に行う精進、神はどのような形で姿を表すか、どのように参拝するのかなどのテーマを、日本中の豊富な事例で紹介している。

柳田は、これから社会に出る若者たちに、自分たちの国の伝統を、少しでも理解して欲しかった。その思いが、行間から、痛いほどにじみ出ている。

しかも、それが昭和16年という時期に行われたということに、意味深いものを感じざるを得ない。

This book is based on Yanagida's class at Tokyo university on 1921. He introduced some aspects of Japanese festivals.

He told the topics like what is the festival, where the destival is condacted, how gods demonstrate the power, so on.

I can guess from this book that Yanagida strongly hoped that young Japanese would have deep insight of his country's culture and history from his class.

2013年2月15日金曜日

白洲正子 私の百人一首(新潮文庫) My Hyakuninn Isshu by Masako Sirasu

一般の人向けに、百人一首の内容をわかりやすく紹介する、という内容の本ではない。書名の通り、白洲正子が、自分の関心や独自の視点から、百人一首を論じている。

内容は、一言で言えば、貴族的。自分の関心で、肝心のその歌から離れ、別な歌を紹介したり、別な人物を紹介したりと、白洲正子ワールドが炸裂している。

白洲正子のファンにとっては、たまらない一冊だろうが、この本を、百人一首の入門的に考えている読者にとっては、やや不親切な内容になっている。

百人一首の本というよりは、白洲正子という人物が、古代から中世にかけての、和歌を中心にした貴族の社会、文化をどのように考えているか、についての本であるといえる。

This book is not for beginner of Hyakunin Isshu, but for senior or fun of the author.

Shirasu describes her interest to Hyakunin Isshu and the author of each Waka by explaining another Waka sometimes.

This book is not about Hyakunin Isshu. This book tells us how Sirasu thinks of the culture and society of Japanese ancient and middle age through Hyakunin Isshu.

田辺聖子 小倉百人一首(角川文庫) Hyakunin Isshu by Seiko Tanabe

大衆作家の田辺聖子らしい、楽しい雰囲気で、百人一首を紹介する。

それぞれの歌の現代語訳、作家の生涯やエピソードの紹介など。架空の熊八という人物を登場させ、作者と熊八が、所々で漫才を展開し、読者を飽きさせない工夫をしている。

ただし、残念なのは、織田正吉の『絢爛たる暗号』という、百人一首の謎解き本からの話題が多すぎること。時々、百人一首を解説しているのか、織田の本を解説しているのか、わからなくなる。

そうした欠点はあるが、百人一首の入門書としては、まずまずの内容だろう。

Tanabe, a popolar writer introduces about Hyakunin Isshu with many humor.

She translates each Waka by today's word and explain the author 's life and episode. She created a person, Kumahachi in this book and make him play as a clown.

But one deficit is that she refers to a book by Masayoshi Oda about the background of Hyakunin Isshu too much.

This book is a good one as a introduction to the world of Hyakunin Isshu although the defect.

2013年2月13日水曜日

石川九楊 日本の文字(ちくま新書)Character of Japan by Kyuyo Ishikawa

知的興奮に満ち溢れた書。

日本には、中国からもたらされた漢字、カタカナ、ひらがな、が存在する。それが、どのように誕生したか、日本の文化に、どのように影響を与えたかが、豊富な事例とともに、紹介される。

また、個々の文字が音を持っているアルファベットと、音を持たない漢字の違いを説明し、なぜ、日本や韓国、ベトナムでは、漢字と現地の文字が共存できているかを、解説している。

最後に、文字教育を怠っている日本の現状を批判し、特に漢字が書けなくなると、論理的な思考が出来なくなるとしている。

とにかく面白くて、文字通り、目から鱗が落ちる一冊。

A interesting and existing book.

Ishikawa explains why Japanse is using 3 kinds of characters - Kanji, Katakana and Hiragana and how the mix affected Japanese culture.

He also tells us the difference between Alpabet and Kanji. The part is very unique.

Finally he criticizes the current situation of the literal education in Japan - very less of educating to write characters by hand. As him, the situation will make Japanese think non-logical.

魚住和晃 書を楽しもう(岩波ジュニア文庫)Let's Enjoy Writings by Kazuaki Uozumi

子供向けの岩波ジュニア文庫の1冊だが、内容は、大人が読んでも、十分楽しめるものになっている。

王羲之の書の紹介に始まり、日本における、かな文字の誕生や、書を書く時の筆の扱い方など、書の初心者が、興味を持つように、考えられた構成になっている。

特に、田中正造、樋口一葉、はたまた、片岡鶴太郎の書など、類書では取り上げられない、珍しい人物の書も、紹介している。

そして最後には、書を自分で書いてみると、より楽しく感じられると、読者を促す。確かに、書いて見たい気持ちになってしまった。

This book is written for junior but sinor also can have a fun from this.

Uozumi introduces many kinds of topics regarding of Chinese and Japanese writings like Wang Xizhi, the bigining of Japanese Kana and the way of using Fude.

Finally the author recommends us to start writing by ourselves. I was motivated to do so much by reading this book.


2013年2月8日金曜日

魚住和晃 書と漢字(講談社学術文庫) Writing and Chinese characters by Kazuaki Uozumi

学者にして、書家でもある魚住が、日本の書に関わる、通説に大胆に挑戦した。

聖徳太子が書いたといわれる、三経義流は、日本人には書けない書体だった。空海の風信帖は、王羲之の書法をもとに書かれており、一部で言われている、顔真卿の影響はなかった、など。

1つ1つ、説得力のある根拠を上げながら、従来の通説を打ち破っていく。読みながら、心地よい爽快感を感じる。

それにしても、この本を読んで、日本においても、王羲之の影響力は、圧倒的なものがあったのだと、改めて思い知らされた。

Uozumi, a scholar and Sho writer opposes common opinions like Syotoku Taishi and Kukai's writings.

He probes his idea by explaining some persuasive facts. I felt refreshing my thought by reading this book.

And I found how Wang Xizhi has influenced the history of Japanese writings much from this book.

吉川忠夫 王羲之(岩波現代文庫) Wang Xizhi by Tadao Yoshikawa

王羲之というと、書聖として、書家としての側面だけが紹介されることが多かった。

この本では、王羲之が、中国の六朝時代の貴族として、どのような生涯を送ったのかを、当時の歴史的な背景の中で、描き出そうとしている。

蘭亭序を中心とした、王羲之の書の多くは、そうした生活の中から生み出された、ということがよくわかる。

喜怒哀楽を抱えた、人間としての王羲之を、数多くの書の写真とともに紹介している。

Wang Xizhi usually introduces as the sage of Chinese calligraphy. But Yoshikawa writes him as a politician at six dynasty of Chinese history.

Yoshikawa explains Wang's great works are based on his whole life. I was impressive with the happiness and sadness of his life.

This book includes many Wang's works. I can imagine easily the background of the works.


2013年2月6日水曜日

白川静 中国古代の民俗 Chinese Ancient Folklore by Shizuka Shirakawa

白川は、冒頭で、柳田国男の民俗学について、海外との関係を、無視していると批判している。

白川によれば、古代の日本は、中国の広範な影響が見受けられるので、中国古代の民俗を学ぶことで、日本の古代の民俗を知ることにもなるという。

特に印象的だったのは、白川の詩経についての解釈。単なる自然の美しさを詠ったようにもえる詩も、実は、呪術的な意味がある、と解釈している。

その詩経と、日本の万葉集を比較して、その共通性と違いを分析している部分も、興味深かった。

Shirakawa criticizes Kunio Yanagida's folklore because Yanagida ignore the influence from China to Japan in aiciant age.

Shirakawa mentions searching Chinese aiciant folklore help us to know Japan more.

I was impressive with Shirakawa's thought of Chinese old poem. He compares the aiciant poem between China and Japan and explains the same and differences.

白川静 中国古代の文化 Chinese Ancient Culture by Shizuka Shirakawa

甲骨文字や青銅器に彫られた文字、古代中国の古典に書かれた文字や言葉から、古代中国の文化を探求するという、野心的にして、雄大な書。

冒頭の、文とは、センテンスのことではなく、人々が創造した価値や秩序である、という文書で、目の鱗を落とされた。そして、そのまま、一気に、白川の世界に引きづりこまれた。

本来は、5つのシリーズの冒頭かつ、総論篇として書かれたため、宗教、法律、歌舞など、幅広い分野を取り上げている。

墨子や孔子の思想を、哲学という視点だけではなく、古代の神話的なコンテキストの中で位置付けている部分は、とりわけ、新鮮に感じた。

どのページからも、知的興奮を味わうことができる、まさに名著だ。

Shirakawa explains Chinese ancient culture by referring the characters in old vessels, bones and books.

Usually we see the word "Bun" as sentence. But as Shirakawa, the word means the value or order which people created. His explanation is very new and interesting for me.

This is just a sample. I enjoyed many of his creative ideas in this book.

2013年2月3日日曜日

柳宗悦 手仕事の日本 Japanese hand made works Soetsu Yanagi

柳宗悦が、昭和15年前後の北海道を除いた日本各地に伝わる伝統工芸の数々を紹介した本。柳は、地方を旅する際に、この本を持って出かけて欲しいと書いている。

今も伝えられている工芸もあれば、すでに途絶えてしまった工芸もあるだろう。全国を扱っているせいで、いずれも記述は簡潔だが、今となっては、貴重な記録となっている。

この本は、昭和18年に出版させる予定だったが、戦争の混乱で、戦後の昭和21年に出版された。

そうした時代背景を感じながらこの本の読むと、柳のこの書にかける熱い思いが、より伝わってくるように感じられる。今後も、長く読まれ続けて欲しい本の1つだ。

Yanagi introduces local crafts all around Japan on 1940s. He wants us to take this book with our travel to go to local area in Japan.

Some crafts already has ceased but another remain today. This book is valuable records.

This book was written in 1943 but published in 1946, just after World Wide War II. He hoped all crafts would survived in such a hard times.

I hope strongly this book will be read by many peoples in future too.

渡辺保 能のドラマツルギー Nou's Dramaturgy by Tamotsu Watanabe

演劇評論家の渡辺が、伝説的な能楽師、友江喜久夫の最晩年の仕舞を紹介しながら、そこに表現された、能の名作のドラマに焦点を当て、その魅力と奥深さを記している。

渡辺は、友江の芸の凄さは、面も装束もない仕舞でこそ、能の作品の持つドラマ性を、より表すことにあるという。

渡辺によれば、友枝は、舞台の上で、何もしなくても、その仕舞を見る者に、戦場の血なまぐささや、女性の悲しみを感じさせることができるという。

しかし、渡辺が見たものは、実際に彼が目にしたものではなく、あくまでも彼が頭の中で見た幻想とも言えるべき物であって、彼と同じように感じるためには、それこそ千回以上の能鑑賞と、謡曲を読み込んでの深い理解が必要になるだろう。

能の奥深さを記そうとしたこの本は、むしろ、そこに行き着くまでの道のりの長さを感じさせ、人々を能から遠ざけようとしているようにも見えなくはない。

Watanabe, a famous Nou commentator explains the dramaturgy of some major Nou story by explaining   the stage performed by Kikuno Tomoeda, a legendary Nou actor.

As Watanabe, Tomoeda makes audience see the atmosphere of war or the sadness of a lady by doing nothing in his stage.

But I think peoples who feel like Watanabe are needed to see Nou stage too many times and understand the story much.

This book tells us how difficult to enjoy Nou 100% although Watanabe maybe want to explain how Nou is excellent.

2013年2月1日金曜日

観世寿夫 心より心に伝わる花 Flower transmitted from hart to hart by Takeo Kanze

能役者である観世が、自分の体験も踏まえて記した、能についての随筆集。

前半の、”心より心に伝ふる花”は、世阿弥の著作や作品について書いており、後半は、いろいろな雑誌に寄稿した、能に関する様々なエッセイで構成されている。

観世は、数ある世阿弥の作品の中でも、「井筒」をとりわけ愛していたようだ。

現代の伝統ばかりを重んじる家元制度にも批判的な視点を持っており、”現代の家元で、優れた演者は稀である”と書いている。

体験に裏付けられたその能に対する考え方は、学者や評論家の書く物とは、一味も二味も違っているように思われた。

Takeo Kanze is a Japanese Traditinal Drama, Nou Actor. He wrote some sentences regarding of Nou and Zeami.

He thought "Idutsu" is best work by Zeami.

He criticized today's traditional "Iemoto" system. He mentioned that few successors of old Nou families are good Nou actors.

I think his thought to Nou is convincing more than another scholar and critics of Nou.

2013年1月30日水曜日

林茂 近代日本の思想家たち Thinkers of Japanese Modern Age by Shigeru Hayashi

林は、近代日本の思想家の中から、とりわけ、民衆の側に立った代表的な思想家として、中江兆民、幸徳秋水、吉野作造の3人について、その生涯と思想を紹介している。

3人とも、その思想は、彼らが生きた時代には、必ずしも、社会においては、実現することは、なかった。

戦後の民主主義は、占領軍が日本に押し付けたものだという議論があるが、彼らの生涯をたどると、必ずしも、そうとは言い切れないことがわかる。

戦前の日本にも、社会に底辺には、確実に民主主義の思想が、根付いていたことが、この本を読むと、よくわかる。

Hayashi picks up 3 thinkers of Japanese modern age, Cyomin Nakae, Syusui Kotoku and Cyomin Nakae from the perspective of democracy.

They tried to realize the democracy in Japan society but unfortunately failed in their age.

Some peoples are saying USA gave the democracy Japan after World wide war 2 and Japan did not know what the democracy was before.

But their lives proves this is not true actually.

茂山千之氶 狂言役者 Kyogen Actor by Sennojyo Shigeyama

面白い!とにかく、面白い本だ。

狂言役者でありながら、オペラの演出を行なったり、落語家や、新劇の人々と共に活動するなど、破天荒なその活動ぶりが、ユーモアのある文章で綴られている。

章の切れ目には、分かりやすい狂言についての解説があり、狂言の入門書としての一面も持っている。

茂山によれば、狂言とは、セリフを一方的に伝える演劇ではなく、観客との対話によって、成り立っているものであるという。その思いが、彼の破天荒な活動を支えている、ということが、行間から読み取れる。

岩波新書の一冊として、今後も長く、版を重ねて欲しい本だ。

A amazing and interesting book!!

Shigeyama is Kyogen actor, Japanese traditional drama. He describes his life as a Kyogen actor with humor and introduces Kyogen briefly.

He thinks that Kyogen is the drama based on the communication with audiences more than another style of drama.

He made me want to watch Kyogen in a theater soon.

2013年1月28日月曜日

白州正子 お能・老木の花 Nou, A flower of a old tree by Masako Shirasu

幼い頃から、能を学び、女性として初めて能楽堂で能を演じた白洲が、一般の人に、分かりやすく、能を解説した、お能。

西洋のバレエとの違いや、マチスの絵と能の名人達の共通性を論じるなど、現代人にとっつきにくい、能の世界を、より身近に感じられるように工夫している。

伝説の能の名人、梅若実へのインタビューの内容をまとめた、梅若実聞書。能の不遇の時代の貧しさ、無心で踊ることの大切さなど、いずれも、心に残る。

特に、梅若実が、世阿弥の風姿花伝について、あまりにも偉大な書物であると考え、一度も読んだことがなかった、というエピソードには、芸の世界の奥深さを感じた。

Shirasu was trained Nou from child age and a first women who was acting Nou on the stage. She explainers clearly bout Nou by referring Ballet and Mateus for beginners.

She interviewed with Minoru Umewaka, very famous Nou artist. Umewaka shared his young and poor age, how to act well by thinking nothing.

渡辺保 日本の舞踊 Japanese dance by Tamotsu Aoki

前半は、理論編。渡辺の考える舞踊の定義と、日本の舞踊の歴史を、コンパクトに紹介する。

後半は、いわば実践編。渡辺が、実際に目にした、藤間勘十朗、井上八千代、友枝喜久夫らの名人たちの舞踊の様子を、ひとつひとつの動きまで、詳細に分析する。

この後半部分が、この本の肝。舞踊とは、身体の声が、聞こえてくることだ、と語る筆者が、どのように、身体の声が、それら名人達の芸から聞こえてきたかが、独特の表現方法で語られる。

この本を読んだ後では、日本のみならず、あらゆるダンスの見方が、変わってくるだろう。

This book has 2 main parts. First is the basic theory of Japanese dance and brief history. Second part is the records of regendy dncers  whom Watanabe watch them actually.

The second part is the core of this book. Watanabe mentions that dencing is to hear the voice of body. He proved his theory by explaining the dancing by the dancers.

This book makes us change our way of seeing the dance.

2013年1月26日土曜日

幸徳秋水 帝国主義 Imperialism by Syusui Kotoku

明治34年に、レーニンやホブソンに先立って、帝国主義を批判した先見的な古典。

幸徳は、帝国主義の本質を、愛国主義と軍国主義として、それが、自由、正義、博愛、平等、という人類の目指すべき方向とは、まったく異なる方向性であるとして、批判している。

複雑な対象を、シンプルな2つの概念に集約させ、日本やヨーロッパの歴史上の出来事などを例にしながら、わかりやすいロジックで、帝国主義を批判する論法は、見事という他はない。

幸徳は、その恐るべき才を恐れた明治国家によって、わずか40才で処刑されてしまった。しかし、彼のこの著作は、これからも長く読み継がれていくだろう。

This book is published on 1901, it was before Renin and Hobson wrote their same theme book.

Kotoku saw imperialism as the combination of  nationalism and militarism and criticized it as against freedom, justice and equality.

His logic is very simple and clear. He use various historic event in West and East to make us sense easily.

Meiji governor feared Kotoku's genius and executed him in jail. But his book will be read by many peoples for long time.

H.ルフェーブル パリ・コミューン La Proclamation De La Commune by Henri Lefebvre

1871年のパリ・コミューンについて、当時のフランスを取り巻く状況、思想的な背景、それに、3月18日の蜂起の詳細な状況などを、多角的に論考している。

ルフェーブルは、パリ・コミューンを、巨大で雄大な祭りであった、と総括している。

マルクス主義的な社会学者であるルフェーブルが、”祭り”というマルクス主義的でない用語を使って、この事件を説明していることに、この事件の持つ、複雑さが表れているようだ。

マルクス自身は、社会主義革命としては失敗したこのパリ・コミューンを、高く評価した、というエピソードが印象的だった。

Lefebvre explained about Paris Commune by many kinds of aspect like social & economics situation, thought. Specially he described the detail of the day 3/18/1871.

He summarized the historic event as "Great Festival".

Lefebvre was a marxist scholar but he used the un-marxistic word. It means the event is not only social revolution, more complicated.

I was impressive with the fact which Marx saw the event as very important for his activity.

2013年1月23日水曜日

宮田登 江戸のはやり神 Popular gods in Edo period by Noboru Miyata

江戸時代には、その時々で、流行りの神様があった。800を超える神がいる日本ならではの現象だ。恵比寿様、お稲荷様、七福神など、今でもポピュラーな神々は、江戸時代に流行った神々だった。

それらを生みだしたのは、江戸の町民文化。神様でさえ、その時の気分で祭り上げ、飽きたら、使い捨ててしまう、江戸の町民のパワーに呆れてしまう。

現代に例えれば、アイドル歌手みたいなものだろうか。政党でさえ、使い捨ててしまう、日本人の原点が、この本には、描かれているようだ。

Japanese believe over 800 gods is living in the country. Some gods was popular for a while, another gods got popular just after that in Edo period. That was just trends.

This is the symbol of democratic power at Tokyo at Edo period. They saw even gods as consuming goods.

I can see similar things now. Young women singers, politicians, writers and so on. The origin of Japanese democratic power has emerged in Edo period.

石田瑞麿 日本人と地獄 Jigoku and Japanese by Mizumaro Ishida

インドで考え出された地獄というものが、日本に取り込まれ、どのように変容したかを、思想、絵画、文学などを中心に考察する。

地獄がリアルなものとして考えられたのは、平安時代から室町時代までだった。貴族の時代から、武士の時代へ変わる時に、貴族の人々が、現実の中に、地獄を見たのだろう。

また、江戸時代にたびたび起こった飢饉は、文字通り、この世に現れた地獄だった。

紫式部が、小説という大きな嘘を書いたゆえに、地獄に行った、と考えられた、というエピソードが、興味深かった。

Ishida described how the concept of hell, Jigoku which was created in India has changed in Japanese society by referring thought, paintings and story.

Jigoku was popular term from Heian to Muromachi period in Japan. The big transition from Chinese style goverment to Samurai style has happened at that age. Old generation governed saw the transition as Jigoku.

It was said Murasaki Shikibu gone to Jigoku because she wrote the tail of Genji. Writing drama was a kinds of crime at that age. I was impressive with the episode.

2013年1月21日月曜日

山田和 インド ミニアチュール幻想 The Image of Indian Miniature Paintings by Kazu Yamada

いや、とにかく、面白い。インドの細密画の世界を、余すことなく楽しめる。

特に面白いのは、細密画のバイヤーとの、熾烈なバトル。本当は欲しい絵を安く買うために、わざと、興味がない物に高い値を付けさせておいて、本命の値段を破格に下げさせる、などの、高度な買い物テクニックが、見事な描写で描かれる。

また、現在ではインドを代表する細密画のコレクターが、かつて、雇い主の高価な細密画を盗んだ経歴を持っているエピソードも心に残る。細密画が、真面目な人を狂わせてしまう程、魅力があるということだろう。

読み始めたら止まらない、まるで推理小説のようなノンフィクションだ。

A amazing book about the Indian Miniature Paintings.

Yamada describes his dramatic battle with dealers for getting excellent works by cheeper price. He accepts higher price for some ordinary works to get some excellent works cheeper.

Yamada also introduces the curious story of a famous collector in India. He has stoled a expensive works from his employer long time ago. It means the Indian Miniature Paintings change person's serious mind to worse.

This book is thrilling and just like a mystery, not nonfiction.

2013年1月19日土曜日

桜井徳太郎 霊魂観の系譜 Genealogy of soul sense Tokutaro Sakurai

桜井は、この書の冒頭で、折口信夫の文学的な手法を痛烈に批判する。”厳密な方法的検討をへないまま、依然として民俗的資料をそのまま無媒介に古代史解説の材料に利用し、いささかの矛盾も感じない”。

しかし、この本は、その折口の巫女観と、桜井の師とも言うべき柳田國男の祖霊観の紹介が、多くの部分を占めている。

桜井は、柳田の民俗学が、折口とは違い、西洋の実証主義的な方法を使っていることを強調する。しかし、晩年の柳田の祖霊観が、そうした傾向から次第に離れていくことを、困惑をもって紹介している。

桜井は、折口はおろか、柳田のことを、全く理解していないということを、この書で自ら暴露している。桜井に取って、民俗学とは、学問にすぎなかったのかもしれないが、折口や柳田とっては、それは、生きるということ、そのものだった、ということを。

Sakurai criticized Nobuo Origuchi's folklore at the beginning of this book. As Sakurai, Origuchi's folklore was not academic but literary.

But SaKurai introduced the Origuchi's and Kunio Yanagida's thought about the soul in this book. The introduction was main part of this book.

Sakurai was stick to academic approach much. But the great pioneers of Japanese folklore like Yanagida & Origuchi were more than academic.

2013年1月18日金曜日

山折哲雄 仏教民俗学 Buhhdism Folklore by Tetsuo Yamaga

前半は、NHK市民大学用に書かれた冊子をもとにしている。そのため、お彼岸、花祭り、地獄、巡礼など、全体としてまとまりがある内容になっている。

後半は、それぞれ別々の機会に、別々の出版物に書かれた文章をまとめたもの。全体としてみれば、仏教あるいは民俗学に関係しているといえるが、内容にまとまりがあるとはいえない。

別な観点からいえば、前半は入門編。後半は、応用編、といったところか。

合わせて読めば、外国からやってきた仏教という宗教が、日本に古代から受け継がれてきた伝統に、どのように吸収し、変容されてきたかが、わかるようになっている。

中でも、日本人の骨に対する考え方の変化を扱った、聖武天皇の「骨」、という短い文章が、強く印象に残った。

Yamaga explained how buddhism from India has been adjusted to Japanese traditional culture for long time.

There are 2 parts in this book. First parts was written for a TV program. Second part is a collection written for some magazines.

I was impressive with a curious episode about the bone of a emperor in Nara age.

2013年1月16日水曜日

水上勉 禅とは何か What is Zen? by Tsutomu Mizukami

本の題名からすると、禅についての一般的な解説のように思える。しかし、その内容は、日本の代表的な禅僧の生涯を、歴史の流れに沿って、紹介する内容になっている。

紹介している僧は、栄西、道元に始まり、一休、白隠、良寛など、よく名前が知られている僧もいれば、大燈国師、鈴木正三、雲渓桃水など、あまりメジャーでない、禅僧も紹介されている。

特に、鈴木正三は、勤勉を唱えた江戸時代の思想家、としては知っていたが、曹洞宗の僧だった、とは意外だった。禅、という思想の懐の深さを改めて感じる。

それぞれの人物について、その思想だけでなく、どのような人生を送ったか、ということに重点がおかれている。

そこに、作者の考え方がよく表れている。禅とは、思想ではなく、生きることそのものの中に、現れるもの、ということだろう。

それが、水上の、”禅とは何か”という問いに対する、答えになっている。

The title of this book is "What is Zen?". But the contents is introduction about major zen monk's life. The monks are Eisai, Dogen, Ikkyu and Ryokan.

Mizumaki wrote not only the thought of these monks but also how they acted in his life actually. It is what the author wants to appeal in this book.

It means Zen is not just thought but Zen is how he lives in his real life.

2013年1月14日月曜日

河上肇 貧乏物語 The story of poor by Hajime Kawakami

第1次世界大戦後の近代化した文明国において、いかに多くの貧しい人々が存在するか、どうして存在するか、そして、どうしたら、それを解消できるのか、をわかりやすく解説した本。

河上は、貧しい人々への商品を生産する資本が足りないのが原因として、政治家にはそのための社会政策を、富裕層には、自分たちの贅沢品に資本を集中させないよう、訴えている。

当時の経済学者たちからは、特に富裕層への、その道義的な要請について、冷笑されたという。ある意味では、河上は、学者でありながら、その庶民感覚を失わなかった、ということなのかもしれない。

まるで、子供が発するような、素朴な発想に満ちたこの書は、現代の、格差社会にも、参考になる部分が多いように思えた。

Hajime Kawakami, a economist in 19-20th century Japan, wrote this book just after World Wide War I. There are too may poor in Japan at that time.

Kawakami analysed how many poor was there and why and how Japan should response. He recommended social policy and rich's moderation.

Kawakami's writing is very easy to read. He had a sense of ordinary peoples.

The theme of this book is universal. His policy seems to be not applicable as is but we can get some hints from his spirits.

野村萬斎 狂言サイボーグ Kyogen Cyborg By Mansai Nomura

内容は、野村萬斎が、自らの講演のパンフレットに書いた、その時々の自分の近況に関する文章と、もうひとつは、日本経済新聞に、狂言について寄稿した文章を、それぞれまとめたもの。

自らの近況についての部分は、ほとんど、野村萬斎のファンでない人にとっては、何の興味もわかない内容。

日経新聞への連載については、一般の人に、自らの経験に基づいて、狂言についてわかりやすく紹介したもの。こちらは、野村萬斎のファン以外でも、読む価値がある。

古くさい印象のある、狂言あるいは能、という伝統芸能について、イギリスへの留学経験を持つ野村が、サーボーグや、コンピュータなど、現代的な感覚で、わかりやすく伝えようとしているのが、よくわかる。

Mansai Nomura is a young and famous Kyogen actor in Japan.

There are 2 parts in this book. First is Nomura reports his latest situation when he wrote the article. Second parts is the introduction of Kyogen and Nou.

Frist part in only for his fans. Second part is the main part of this book.

Nomura has experience of staying in England 2 years. He explains Kyogen and Nou very well by using the nowadays word like cyborg, computer for young generation.

2013年1月13日日曜日

内村鑑三 後世への最大遺物・デンマルク国の話 Great remains to future/The story of Denmark by Kanzo Uchimura

内村鑑三の2つの講演録。

1つ目は、後世への最大遺物とは、金や建物、あるいは思想ではなく、その人物が生涯にどんな良いことを行ったかである、という内容。

2つ目は、ヨーロッパの小国が敗戦のあとに復活した原因は、何よりも国民の精神的な力であった、という内容。

いずれも、物よりも心を重視した内村の思想をよく表している。内村は、当時の政治経済学を批判して、”アダム・スミス、J・Sミルもいまだ真理を語らない”と言っている。

東日本大震災の後、よく耳にする言葉に、”物の復興も大事だが、心の復興の方が大事”ということばは、この内村の考え方とも共通するものがある。

This book includes 2 lectures by Uchimura.

First is what is most remains which we can give to future. The answer is not money and architecture or objects but the good things what we have done in our life.

Second is the story of Denmark, a small country in europa. Denmark has lost the war but come back by the nation spirt with small land and wealth.

Uchimura believed mind is more important than money, land and objects. He said Adam Smith and J.S.Mill told us the truth.

Japanese says the recovery in mind is more than in infrastructures after 3/11 big earthquake and tsunami. Uchimura would agree with this.


内村鑑三 代表的日本人 Representative Men of Japan by Kanzo Uchimura

内村鑑三は、自分がキリスト教徒であること、日本人であること、この2つのあいだで常に葛藤していた。

西欧のキリスト教から見れば、日本は神を知らぬ未開国であり、サムライ、腹切、天皇への絶対的な忠誠心をといった、野蛮なイメージの国であった。

内村は、そうした意見に、半ば同調する反面で、西欧の資本主義的な政策には、批判的な考えを持っていた。そして、日本の歴史を学ぶ中で、宗教の違いを越えて、偉大な人々がいたことを知った。

そして、この書を著して、次のように宣言する。”サムライの子であるからには、(当時の風潮に)毅然として異議を唱えるのは、私の当然の務めであります”。そして、西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮の5人の日本人を紹介した。

その意味では、この書は、世界の人々に対して、”武士道”というイメージとは違った日本人の姿を伝えるという意味だけでなく、内村自身の内面の葛藤を解消する、という意味もあった。

皮肉にも、内村の批判は、マネー資本主義に汚染された、現代の日本にも向けられている。この書は、決して過去の古典ではない。現代にも生きている、アクティブで、挑発的な警告の書なのだ。

Uchimura was in discord between Christian and Japanese. Western countries saw Japan as a developing country and Samurai, Harakiri was the typical image of Japan. He found 5 Japanese who had done the great achievement which was universal in world.

Uchimura introduced the men in his book and tried to change the typical image of Japanese at that time.

He was against the western capitalism trends at that time and thought the 5 Japanese taught us another way.

Ironically Japan is in money capitalism now. This book is not old, active and provocative to us today.

2013年1月12日土曜日

新渡戸稲造 武士道 Bushido by Inazo Nitobe

ある外国人から、”日本に宗教がないということは、道徳教育がないということか?”と問われたことに対する、新渡戸の回答が、この書。

”武士道は、日本の土地に固有の花である。”という出だしでこの本は始まる。これは、世阿弥の風姿花伝を連想させる。

新渡戸は、仁、義、礼、誠、といった日本に特有の概念を、主に欧米の人々に対して、欧米の文化や習慣と関連付けながら、それが決して日本だけの習慣ではなく、人類に共通したものであることを、わかりやすく論じている。

日本人論というと、とかく、日本の特殊性を強調し、外国との距離を取ろうとする内容が多いが、新渡戸のこの本は、むしろ、日本を積極的に国際社会に開こうとする姿勢が一貫している。

これから、日本が、どのように国際社会で生き抜いていったらいいのかについて、改めて考えさせてくれる。

A foreigner asked Nitobe how Japanese teach morality without religion. This book is his response to the question.

Nitobe explained Japanese specific various custom by referring western history episode. Nitobe tried to make foreigners sense about Japanese.

Some people see Japan as a special apart from anther countries. But Nitobe was not. He had open mind and was willing to communicate with another countries.

Nitobe's thought gives us a hint how Japan will survive in international community in future.

松永昌三編 中江兆民評論集 Cyomin Nakae Anthology edited by Syozo Matsunaga

明治時代を代表する、在野の主義思想家、政治家、ジャーナリストである中江兆民が、各種の新聞に寄稿した評論文集。それ自体が、明治の政治史の記録になっている。

岩倉使節団で同行した西園寺公望とともに創設した『東洋自由新聞』の社説から、亡くなる直前の明治34年の評論まで、中江の活動の軌跡が描かれている。

特に、自ら当選した、明治24年の第1回帝国議会に関する生々しいドキュメントは、貴重な記録だ。政府の予算案に対して、議会は反対したが、一部の議員が政府に買収され、政府の予算案は妥協の上で、可決された。中江は、その妥協を嘆いている。

そうした評論を読んでいると、政治をめぐる実態は、今日でもそれほど変わりないことがわかる。中江は、そうした状況を打破しようと、政治家としてジャーナリストとして奮戦した。

政治は、上から降ってくるものではなく、自分たちで戦い、実現していくものだ、という情熱を、その行間からひしひしと感じられ、こちらの身も思わず引き締まる名著だ。

Nakae is a politician, journalist and thinker at Meiji period. This book includes his writings published in a couple of newspapers.

He was elected for a member of first Meiji parliament. He records what was happened in his writings like pressures from government, negotiations and others.

He thought that government was not given but build by ourselves. I was impressive with his thought much and looked back to the current political situation.

2013年1月9日水曜日

家永三郎編 植木枝盛選集 Ueki Emori Anthology edited by Saburou Ienami

明治時代、自由民権運動の時代に活躍した、植木枝盛の主要な論文集。

その論文に共通するのは、徹底した人権思想。その主張は、すべての人間は、生まれつき、平等に権利を与えられている、という基本思想に裏付けられている。

男女の社会的な地位の平等を訴えたり、当時の国民の大多数を占めた農民の権利を求める、その主張を読むと、その先進的な内容に、大きな感動を覚える。

特に、明治憲法が発布される以前に出版された、東洋大日本国憲法案は、実際の明治憲法より進歩的な内容で、むしろ、今日の日本国憲法に近い。

今の憲法は、アメリカの押しつけ、との主張は、この書を読むと、完全にはそうは言い切れないことがわかる。その基本的な精神の底流は、明治以前から、日本に確実に流れ続けていたのだ。

Ueki was a thinker and politician at Meiji period. This anthology includes his main papers.

His thought was based on western human rights thought at that time. He argued women are equal as men, poor farmer which are main parts of Japanese population should be citizens of Japanese society.

He proposed his idea of constitution before government published his one. The contents was more radical than goverment's one, very similar to today's constitution.

Some people is saying USA forced his constitution to Japan after world war II. But Ueki's proposal proves the saying is not correct.

2013年1月8日火曜日

尾崎雅嘉 百人一首一夕話 Anecdote of Hyakunin Isshu by Masayoshi Ozaki

江戸時代、天保4年に出版された、百人一首の解説本。しかし、江戸時代の本といえど、侮ることなかれ。現代も、十分に読み応えがある。

すべての和歌について、簡潔な和歌の解説と、歌人にまつわる、様々なエピソードが紹介されている。そのエピソードの内容の面白さが、この本の面白さでもある。

中には、あまりエピソードがなく、簡単にふれられているだけの歌人もあるが、天智天皇、持統天皇に始まり、菅原道真、紫式部、西行、藤原定家、源実朝、後鳥羽上皇など、歌人というより、歴史的な人物のエピソードが豊富。

今日、簡単に手に入る百人一首の解説本と比べても、決して遜色ない。といより、明らかに内容はこちらの方が、上を行っているかもしれない。

それぞれの和歌を作った人物の生涯を辿りながら、その和歌を楽しむ、というこの歌集の醍醐味を、最大限に味わえる好著。

This book was written in Edo period, around 200 years back. But the contents is not old but useful and amazing very much.

Ozaki explained the meaning of each Waka and introduced a couple of episode for each person. The episode is very interesting.

The authors of Waka are empires, politicians, writes and monks. They are very popular in Japanese history.

Ozaki made sense clearly what is the essence of Hyakunin Isshu.

2013年1月7日月曜日

斉藤征雄 世阿弥の能を読む Reading Zeami's Nou by Masao Saito

著者の斉藤は、能楽愛好者の会の幹事長を務めている。学者ではなく、会社務めを終えて、この書をものにしている。

内容は、風姿花伝を中心にした世阿弥の能の対する考え方、能の歴史、世阿弥と足利将軍たちとの関係、世阿弥の能の特徴など、多岐にわたる。

新書といえど、侮る事なかれ。レベルは高い。特に、世阿弥の能の特徴を記した部分は、斉藤の能の鑑賞経験の豊富さが伺える。能を味わい尽くした者だけが語れる領域に達している。

巻末の、参考文献一覧を見ると、その種類が、能だけではなく、歴史、思想など多岐にわたり、斉藤のこの書にかけた情熱の深さが伝わってくる。

アマチュアリズムの神髄を感じた。名著といっていい。

Saito mentioned Zeami's thought of Nou, History of Nou, the characters of Zeami's nou in this book.

Saito is not a scholar but a retired business man. He wrote this book by reading many kinds of book not only of Nou but also of History, Thought and others.

I felt his deep energy and the sprits of amateurism so much.

2013年1月5日土曜日

伊東豊雄・中沢新一 建築の大転換 Transformation of Architecture by Toyo Ito & Shinichi Nakazawa

中沢は、東日本大震災後に、『日本の大転換』という本を書いた。

この本は、いわば、その建築版である。

中沢によれば、建築は、本来、それが建つ土地と結びついていなかればならないが、近代以降の建築においては、土地の上に、それと無関係な”もの”を置いているだけ、だという。

建築家の伊東豊雄も、そうした中沢の考えに賛同している。伊東の建築は、これまでの近代主義的な建築に対する批判でもあるという。

中沢は、伊勢神宮やボロブドゥールの仏塔を例に、土地と一体となった建築の姿を論じている。

建築とは何かという本質的な問いを問いかける、興味深い本だ。

Nakazawa is saying the architecture should link to the nature & land tightly but the modern architecture is not.

Toyoo Ito, a architecture agrees with Nakazawa's thought. His works is based on the critics agains the modern architecture concept Nakazawa points out.

The book is asking what is the ideal essence of architecture.

プロローグ 悲劇の始まり Prolog - Tragedy

本を読むことを楽しみとする人間にとって、この世を生きるということは、悲劇以外の何ものでもない。

それは、人の一生において、読むことの出来る本が、あまりにも少ないからだ。

1日に1冊の本を読んだとしても、年におよそ300冊。10年で3,000冊。100年生きても、わずか30,000冊の本しか読むことが出来ない。

これから記そうとしているこの読書ノートは、その意味では、一つの悲劇である。

Life is tragedy for bookish.

How many book we will read books in our life? Only 30,00 if we will read a book in a day for 100 years. Only 30,000!

This blog is a tragedy by a bookish.